印象採得：吸着が必要な総入れ歯などは正確な印象を採るため、
一度既成トレーで印象を採ります。この印象を利用して
オーダーメードでその患者さん専用の印象を採る個人トレーを制作します。
当医院ではこの個人トレーを数年保管しておきます。

咬合採得：上下別々に印象した顎模型を患者さんの口の内と同じ立体的
位置関係に再現する作業です。
赤い部分は蠟です。熱を加えて軟化して患者さんの口の内で咬んでもらい
立体的位置関係を口腔外にｍｍ単位で再現します。

咬合器装着：上下顎印象の静的な立体的位置が再現された模型ができています。
この模型を動的な顎の運動を再現できる、咬合器という装置にセットします。
物を咬む時、実際には右で咬む時には下顎はわずかに右にずれ、左で咬む時はその逆に動きます。すりこぎのような運動をして、咬む側の関節は回転運動を反対側は前下方に回転運動しながら移動するのです。この顎の動きを考慮して咬合器上で人工歯を配列します。

試適：人工歯が蠟堤上に配列された完成前の義歯を実際の口の中に装着して、咬みあわせのずれや模型上ではわからない唇等との位置関係を確認します。

完成：試適の時の蠟でできた赤い歯肉の部分は全面を石膏で固め、
後に熱をかけ溶かし出して空洞をつくります。
そこへ　レジンという樹脂性の材料を圧力と熱を加え圧入するのです。

□ ここで問題です　
下のA,B,C,Dの写真をご覧ください。
Ａ，Ｂは当院の保険診療の入れ歯です。入れ歯内部の金属部品が透けて見えます。Ｃ，Ｄは他院で製作されたものです。

どこに違いがあるかお分かりでしょうか？


A	B	C	D

Ａ，Ｂは全ての金属部品が一体で鋳造製作されています。C,Dのものは旧式で金属の部分を別々に作りレジンの中に埋め込むことで固定したり、金属部品同士を蠟着したりします。
一体で鋳造するには従来より高価で高性能な鋳造機が必要です。
ではなぜ一体で製作するのでしょうか？それは留め金の位置の狂いが少ないのです。
でも保険治療ですので負担金は同じです。

■保険外義歯

左：保険義歯　右：金属床義歯　

金属床義歯は義歯の厚みを薄くすることが可能、
口腔内を広くでき、金属のため温熱感を伝え易く、違和感を軽減できます。

上：金属床　下：保険義歯

金属床の薄さを表現しようと後縁から写真を撮ったのですが、
ちょっとむずかしかったです。

□　一言アドバイス

入れ歯は２つ持っておいてください。入れ歯は時として割れたり、留め金が折れたりすることがあります。その場合すぐに修理できることもありますが、数日以上お預かりしないと治せないこともあります。総入れ歯などは一から製作する場合は調整もいれると約一か月かかります。トラブルは突然起きます。その時、予備の入れ歯が役にたちます。毎日使うものです。身体の一部です。予備のものは適合が悪くてもいいです。無いと大変困ります。着物や靴は複数お持ちなように入れ歯も、新しい入れ歯を作った時は一つ前の古い入れ歯を残しておいてください。入れ歯が割れたり人工歯が抜けた場合は接着剤などは絶対に使わず、割れた部品を全てお持ちください。ご自身の歯が抜けってしまった場合はその歯もお持ちください。その歯の印象を採って正確に早く修理が出来る可能性が高いのです。